ヒタヒタ…

「や、やだぁ!!」
私は恐怖のあまりその場にうずくまってしまった。
「」
遠くから私を呼ぶ声。
この声は…
ふッと顔をあげると
「美奈どうした…?」
「拓哉……」
顔を上げ、そこに居たのはクラスメイトの拓哉だった。
「う、ううん…何でもない…」
素早く立ち上がるものの恐怖で脚がカタカタ震え不意にバランスを崩してしまっ
た。
「∑∑キャッ…!」
「危ねっ…」
ポフッ
あれ……痛くない…
「……拓哉…?」
「どうしたんだよ…脚震えて…何か怖い事でもあったか…?」
見上げたら何故か拓哉がいる。
しばらく状況が理解できなかった。
「ぅ…なんで痛くない…?」
思わず口から出た言葉。
「倒れたから支えてやってるだけだ…」
「∑∑!!!!」
ようやく自分の現在の状況を理解する事ができた。
「ご、ごめん…!!きゃぅ…!!」
バッと離れるが脚が震えてしまってまたバランスを崩す。
するとまた支えてくれた。
「美奈やっぱり今日のお前可笑しい…ぜってぇなんかあっただろ…」
「な、ないよ……」
こんな事言っても仲良いクラスメイトでも信じてくれないだろう…だから私はあ
えて何もないと言った。
「……まぁいい…何があったか知らねぇけど…何かあったら俺に言えよ…?」
「う、うん…ありがとう」
なんか今日妙に優しい…気のせいかな…
「って訳で送ってってやる…」
「は…はぇ!?い、いいよ!拓哉忙しいだろうし…そ、それに…迷惑かけちゃう…」
「迷惑じゃねぇし…だから送る。」
ここまで言ってくる位なら絶対何を言っても無駄だろう…
「ぅぅ……ありがとう…」
そう言い歩き出す。
「礼はいらねぇよ…当然だから…」
「何それ……」
とか色んな事を言いながら互いにクスクス笑いながら歩く。

しばらくして私の家に着く。
「ほら着いたぜ。」
「有難う…って…何で私の家知ってるのよ……」
「さぁ…何故でしょう…」
と言い拓哉がクスクス笑う。そんな拓哉の事を不思議に思っていた。あえて細か
い事は気にしなでおく。
「と、兎に角ありがとう…」
「どういたしまして…じゃぁな…」
「うん…バイバイ♪」
だんだんと遠くに写っていく拓哉の姿を見ながら姿が見えなくなるまで手を降り
続けた。