空は薄群青色

 月が西の空に傾きかけている

 目の前に大きな紅梅の木、後ろには古びた旅館

 さっきまで、煌びやかな着物を身に纏っていたのに、今は浴衣に羽織り。

 戻ってきたんだ

 あれ?梅がまだ咲いてる

 今、何日なんだろう?

 とりあえず、旅館に戻る事に

 静まり返った旅館の小さなカレンダーの日付は

 2009年3月14日

 変わってない?

 案内された部屋に行くと璃花は縛睡中

 「幸せな人ね、私も少し寝ようっと」



 「八重~、いつまで寝てんのよ ほら今日は取って置きの場所行くよ♪」

 「私、疲れてるの~ もう少し寝かせてよ」

 「だ~め!!」

 「おはようございます、朝のお食事は大広間にて用意してあります、ごゆっくりなさってくださいね」

 「紅さん?」

 「何寝ぼけてんの、女将さんの桜子さんよ」

 「いい夢を見られたのですね それでは後程」

 璃花に半分たたき起こされるようにシブシブ起き上がる

 夢…じゃないよね

 「あれ?八重なんか女っぽくなったんじゃない?」

 「何言ってるの、一晩で変わるわけないでしょ?」

 「う~ん…やっぱり、昨日のあれが効いたのね♪」

 思い出したら恥ずかしくなってきた

 「違うわよ さぁ、食事行くわよ」



 私達は、ゆっくり目の朝食を取り、璃花の取っておきと言う場所に連れられた。

 「ジャジャ~ン、今日は舞妓さんになって京都観光するので~す」

 「また…着替えるの?」

 「何言ってるの?今回初めてよ」

 「そ、そうだね」
 
 やっとあの重たい衣裳から開放されたばかりなのに

 仕方ないわね

 璃花は、龍様達の事知らないんですものね

 この事は、私と貴方の秘密よ



        *** END ***