耳鳴りがする。


それが警告音であるならば、

どうしてもっと早く気づかせてくれなかったのか。



やけに世界が速く流れると思ったら、メーターは160キロを越えていた。


前をゆく車も、
高速の料金所すらも煩わしい。


「なんで……っ、なんでだよ!」


東京へと向かう車内で、ひとりそう叫ばずにはいられなかった。


そうでもしなきゃ、マユミの言葉がいつまでも
頭の中でリピートして、離れなかったから。




――『店長……、さっきね。


桜子ちゃんが、


うちの店に面接に来たの……』