そういえば、変態はどこ行ったのかな…。


「はい、どうぞ。 お姫様」


私の後ろでそう言ったのは変態だった。


「ありがとう。 でも、クサいよ」


「いいじゃん、今だけ」


私はその言葉に甘えて、馬の上に乗るのを手伝ってもらった。
そして何故か、一緒に乗る変態。


「あー! 淳先輩、ズルイですよー!」


スタートの合図がなり、沢尻くんはしぶしぶひっこんだ。


「なんで一緒に乗るの?」


「え? さっき言いかけた事を、聞こうかと思って」


私は黙ってしまった。


そして、メリーゴラーンドが一周する頃、先に変態が口を開いた。


「言いたくないなら、いいけど」


「え?」


「俺…っていうか、俺たちも秘密があるわけだし。 主井さんもあって当然だしね」


秘密って…変態だって事?


「でも、私だけ秘密なんて、フェアじゃないって思わない?」


「まあ、確かにね。 でも、言いたくない事を無理に問いただす気は無いよ」


そっか…。
私はホッと、胸をなでおろした。


「ただ、さっき…聞いてほしそうな顔をしてたような気がしたから」


私はその言葉にドキッとした。


「俺の気のせいかな」


「…あのさ」


「ん?」


「いつか、話すから」


「うん、待ってる」


「たいした事じゃ、ないかもしれないけど」


「うん、全然良いよ」


いつか、いつか…絶対話す。
そう思った。


もしかしたら、三人に嫌われるかもしれない。


それでも…“私”を知ってほしい。
そう思うのは…どうしてかな?