幼い頃は仲良く遊んでいた二人の姉妹。
リルとエヴァはいつでも一緒だった。

何をするにもリルが先を歩き、エヴァが後を追う。

二人は天使のような双子だったのだ。


しかし今では二人の仲は冷え切ったものだった。
それには国王ガストロと妻のリリアスも頭を悩ませていた。

エヴァは姉を今も慕っており、尊敬の念も強く抱いている。


しかし問題なのはリルであった。


リルは極端にエヴァを嫌い、妬み、憎んでいた。
嘗てはあれほどまで仲が良く互いに想いあっていたのが嘘のようだ。

リルの“エヴァ嫌い”は次第に悪化し、食事すら一緒にすることも無くなった。



ある日エヴァは満開の薔薇を目の当たりにし、感嘆の声を漏らした。
侍女との散歩中であった。


「まあ・・・なんて美しいのでしょう。」


エヴァの頬は感動で紅潮し、そして脳裏にあることがひらめいた。


「そうだわ!お姉様にこのお花をお持ちいたしましょう!
確かお姉様は薔薇の花が大好きだった筈。」


侍女はエヴァの姉想いの提案に微笑んだ。


「それはいいお考えですわ。
きっとリル様もお喜びになるでしょう。」


侍女の応えにエヴァも顔を綻ばさずにはいられなかった。


きっとお姉様も喜んでくれる、そう思っていた。