その言葉の意味はわかっている。
自分がどのような立場に立たされているのか、何故そのようなことをハニーが言うのか。

全ては世界の為―――。

アリスはとうに覚悟を決めたことを自分に思い起こさせる。


「わかった・・・、その約束は守る。
じゃあハニーも約束して。私の命令ならなんでもきくんだよね?」


「ええ、そうですが・・・。」


アリスは力強い眼差しで言った。





「私が死ぬまで、私を守って。」




ハニーが返事をしようとすれば、それを制するようにアリスは付け加える。


「途中で死んだりしたら承知しないから。」


塔の頂上に凛と立つアリスは、神々しくもあり、気高くもあった。


「御意。」


そう言ってハニーは深々と頭を下げた。


英知の塔の頂上で、二人は誓いを立てた。





旅はまだ始まったばかり。

行く末は誰にも知り得ぬ。



その光の射すほうへ。

ひた歩くしかないのだ。


アリスは風に靡く髪を掻き揚げた。




そして二人は英知の塔を後にするのだった。