ハニーは攻防を繰り返していた。

まるで虫のように湧く兵。
それを一人で相手にするのは至難の業だった。

ハニーの頭にクイーンのほくそ笑む顔が浮かんだ。


ほどなくして辺りが明るくなったのがわかった。


「アリス嬢・・・。」


トランプ兵の槍を弾き、ハニーは塔の頂上へと向かった。

細い階段は自らの危険をも生むが一人対多数の時には有利になる。
例え大勢の軍兵がやって来たとしても一人ずつ来ることしかできないからだ。

そこで一段ずつ階段を昇りながら頂上の様子を垣間見る。


すると空から一陣の光。
そしてそこを馬に乗って駆けて来る一人の騎士。


「あれは、“天界の騎士”!!!」


そしてハニーは見たのだ。

その騎士の身長の倍はあろう長槍が、アリスの胸を貫くのを・・・。


「アリス嬢っ!!!」


叫んだ時には遅かった。

既に槍はアリスの胸を貫き、背中から先端が飛び出しているのが見える。
槍が体を貫通した。

ハニーから血の気が引いた。

アリスの体はくの字に曲がり、髪の毛が邪魔をして表情が読み取れない。


そして騎士がその槍を引き抜いた瞬間、眩いばかりの光が放たれた。

騎士も、アリスの姿も見えないほど眩しい。
ハニーは手を翳した。兵達も同様に目を覆う。





強い光が、プレザンス一体を覆った。