「乙女ナイト…月を護る最強の戦士」

九鬼は感慨深げに、頷いた。その思いは、憧れにも似ていた。

「馬鹿らしい!」

ブラックは鼻で笑った。

「そんなのは、伝説だ。それに、乙女ナイトになれたかもしれない可能性があった…あんたが、こんな様子では…」


「あたしじゃ…無理。だけど、1人…なれるかもしれない戦士がいる」


ブラックは眉を寄せ、

「そんな者…どこにいるの?どこにも、いないわ?」

肩をすくめた。

「そうよ。ここにはいないわ。今は…だけど、もうすぐ来る」

九鬼の確信を持った揺るぎない瞳の輝きに、

ブラックは吸い込まれそうになった。

しかし、ブラックは無理矢理、顔をしかめた。


「あり得ない」


「いえ…」

九鬼は、首を横に振った。

「可能性はあると…あなたも思ってるはず」

「な!」

「だから、あなたがここにいる。姿を見せたのは、その可能性の為」

九鬼は、ブラックと見つめた。

二人の視線が絡み合う。


「フッ」

やがて…ブラックは笑うと、その場から煙のように消えた。



九鬼は、黒の乙女ケースを見つめた。

あと何回変身できるか…わからない。

ぎゅと乙女ケースを握りしめ、

「早く来い!里奈」