恋の話によると、男子トイレから出たとき、女子トイレから私と親衛隊三人の声が聞こえてきたから、しばらく様子を伺ってたんだって。


手が出そうになった瞬間、つい身を乗り出してしまったらしい。


「ありがとう、恋」


「いえいえ」


何も考えてないような笑顔でそう言う恋。


「あの三人には、ボディーガート止めてもらうように頼むね」


「そうだね、その方がいいかも」


「…ちょっと、寂しくなるけど」


私がそう言うと、恋は歩く足を止めた。


「それ、あの三人にも言ってやったら?」


「絶対嫌だ!」


そんな事言ったら、何されるか分かんないし。
絶対、一生言わないんだから!


私は、三人に直接会って、ボディーガードをやめるように頼んだ。


三人にトイレで会って、殴られかけた事は言わなかったけど、逆に三人と一緒にいると危ないんじゃないか、と説得すると、分かってくれた。


「なるべく一人にならないようにはするからさ!」



そう言うと、三人は納得したように頷いた。


…結構、あっさりだったなあ。


ちょっと寂しさを感じつつ、教室に戻った。


「何かあったら言ってね」


という、変態。


「…うん」


あったんだよ。…なんて、言えないな。


もし言ってしまったら、逆にコイツらは離れていきそうだ。
…それでいいはずなのに、寂しいと思ってしまうのは何でだろう?