「沢木さん、僕のことだけを見ていてくれないかな」

そういうと麻生君はやっとこちらを向いた。

「君とこんなふうに二人で勉強するようになってから僕は確実に君にひかれている」

「ちょっと待って。そんなことありえない。だいたい私と麻生くんがつりあうわけなんかないんだし」

動揺していた。

まさかこんな形で告白されるなんて思ってもなかった。

私は混乱する頭をゆっくりと紐解きながら言葉を選ぶ。

そうだよ。

私は誰もが認めるブサイクで勉強しかできない女だもの。

そんな私にみんなの憧れのまとの麻生くんが好意を持つなんて…。

「どうしてそんなに自分を卑下するの。沢木さんはとてもきれいだよ」

夢でも見ているのかしら。

ついこの前まで、彼と口を聞くことだってできない立場だったのに、その彼が今私のことをきれいだなんていっている。