「あぁ、あんたがミオ」



要は、そう言えばと思い出したようで腕組みをしてあたしを頭のてっぺんから足のつま先まで舐めるようにジロジロ見た。



な、なによ。

なんでこの人、こんなに感じ悪いの?


しかも、ミオって…あたしの事すでに呼び捨てだし!




「要、あんた未央ちゃんに失礼じゃない!」




おばさんは、はあと大きな溜息をつきながら言った。




ほんとに失礼だっ!!!




あたしは口に出しそうになりグッとこらえた。


佐紀子おばさんが要の頭を軽くこづく。


「ほら、仲良くしてよ!」



おばさんに言われ、渋々とあたしの前にやって来た。





目の前まで来た要は、あたしより頭ひとつぶんより大きかった。



背ぇ、高・・・。

何センチあんのよ?

・・・って、あたしがちびなんだけどさ。




――ん?
ちょっと待て?
じゃあ、あの記憶の片隅の女の子は誰なんだろう?

女の子?

……? ま、いいか。





ジロリと見上げると、要とがっちり視線がぶつかり、思わず胸が高鳴った。


う・・・うわ。


あたしを見下ろすその瞳は、綺麗で薄く茶色がかっている。
健康的な肌はいかにもスポーツしてそうで、黒くて少しウエーブがかった髪がさらに要を目立たせていた。

その細い体のラインには、着崩したブレザーがよく似合っている。


その装いから、一見軽そうにも見える。
うん。かなり女の子慣れしてそう。


黙っていても女の子がほっとかないだろうな・・・



この手のタイプ、あたし・・・・・・苦手。




「…………ぐ…」



要の圧倒的なオーラに思わず怯んでしまう。




負けてはいけない!!




要は右手を差し出した。



何で差し出されたのかわからずその手を見つめていると、強制的に要はあたしの右手をつかんだ。



「よろしく。 未央」




あたしの手を握り締め、口の端を少し上げた要の顔は、いたずら好きの
子どもに見えた。