特にうちのクラスでは優勝も狙えるんじゃないか? と陽呂くんを応援する方向で盛り上がっている。


 あたし達も自分の競技が終わったので陽呂くんを応援に行くと、丁度3回戦真っ只中だった。

 これに勝てばついに決勝。

 もう一組の方ではすでに颯くんが勝利を収めているので、本当に一人の女を取り合う二人の対決という勝負が成立してしまう。


 その取り合われる女というのがあたしってとこが何だかおかしい気がするけれど。

 あたしは変に注目されたくなくてあまり中心の方には行かない様にして陽呂くんの様子をうかがっていた。


 陽呂くんは指定体操着のシャツの上にベストタイプのパーカーを着て、いつものようにフードを被っている。

 前髪も長いし、あれで見えるのか? なんて言われていた。

 それでいてやっぱりかなり集中力がいるみたいですごく汗をかいているから、もう脱げばいいのにとヤジられてもいた。


 あたしはそんな声を聞きながらも陽呂くんに集中する。

 相手も結構強いのに、ラリーをつなげて隙を狙うようにして点を獲得していった。


「ッシ……!」

 大げさにじゃないけれど、小さくガッツポーズするのが見えてドキッとする。