教室の一角を調理場にし、前日に皆で作ったお菓子たちを冷蔵庫を開けて確認する。


「あんこ、白玉、苺のカットはオッケーです。どらやき、あんこ、ホイップクリームも良し。わらび餅と、砕いた黒糖わらび餅も大丈夫。ドリンクも氷水の中で冷やされてます。後は時間までに豚汁を温めて、ご飯を炊いて準備完了ですね!」


「羽花、ちょっと来てくれる?」


 こいこいと明日香さんに手招きをされ調理場を離れる。


「どうかしましたか?」


「これ、羽花も来て少しホールやってみない? 会長にも可愛い姿見せてあげなよ!」


 じゃ~んと出された服は女子の皆さんが着ている赤を基調とした着物風の衣装。膝上スカートの裾にはヒラヒラのレースが施されており物凄く可愛い。けどそれは可愛い子たちが着るから可愛いだけであって、私には絶対に似合いません!


「わ、私には可愛すぎて着こなせないです。それに調理の仕事もありますので」


「羽花は会長に可愛いっていってもらいたくないの?」


「そ、それは……」


 言ってもらいたいです。せっかく両思いになれたのに何故か両思いになる前となんにも変わってない。むしろお互いが忙しくて一緒にいる時間が短くなってしまいました。


(まぁ、私が基本バイトで夜いないからあまり一緒にいられないのですがね……)


「はい、決まり〜! 会長も惚れ直しちゃうくらい可愛くしてあげる!」


 雷斗くんが惚れ直してくれる……そうなったら嬉しいです。


「ほ、惚れ直してくれますかね?」


「もちろん!!! メイクもしてあげるからこっち来て。皆で羽花を可愛く変身さちゃうよ」