蓮の真剣な瞳が、あたしを射抜く。



「俺のこと、真梨にも知ってほしい」

「……うん」



蓮は、どんなあたしも、受け入れてくれた。

遊び人のあたしも、男が怖いあたしも、過去のあたしも、全て。

殺してって、縋った時だって……決してあたしのことを、突き放さなかった。

あたしも、知りたい。受け入れたい。ずっとずっと、そばにいたいから。

蓮のことが、知りたいよ。



横にいる蓮の左手を、あたしの右手でそっと触れる。

蓮の大きくて冷たい手を温めるように、ぎゅっと握った。



「俺は、生みの親のことを知らない。生まれてすぐ、児童養護施設の前に捨てられていたらしい」



蓮の銀の瞳は、冷たく街を見下ろしていた。