――そうそれ。  で、私確かにあの日小さな女の子に庭先で出会ったのよ。
それで自分の名前が「早乙女 海鳳」って教えたの。
雪穂ちゃんが家に来て、あの日の事を話して自分の初恋だったって聞いて
それ海鳳じゃなくって私じゃん!って
雪穂ちゃんの初恋の王子様って私じゃんかって




記憶力は人より良い方だと思っていた。だからその出来事を思い出せなくてもどかしい気持ちになっていた。

でもまさか、雪穂が幼い時に出会ったのが俺に扮した凪咲だったとは…。
それさえ、今は意味のない事なのかもしれない。

凪咲が言うように、始まりは大した重要ではない。 それから二人がどういった関係を築き、互いを大切に想えるようになるかの方が重要なのだ。

もう一度君に会いたい。
君にまだ伝えていない言葉が沢山あるんだ。