隼は肋骨にヒビと、左腕の骨が折れていた。

隼は利き手じゃなくて良かったと笑っていたけど、こっちは全然笑えなかった。

だって、バイクが車と接触して横転したなんて……リアルに事故だ。

もしも打ちどころが悪かったらと思うと……ゾッとする。

隼のお父さんもすぐに駆けつけて、すごく心配してたし……動揺してた。



「絶対に守るって決めたのに……。もう二度と、お前がボロボロになるところを見たくなかったのに……」



そう言って、隼のお父さんは泣いていた。

そんな隼のお父さんも、腕が血で真っ赤だった。トラブルの中で誰かに刺されたらしい。

隼はただ謝るだけだったけど、どことなく嬉しそうだった。

親に心配されることが、嬉しいみたいだった。



「俺、何もできなかったけど……真梨は無事だから、親父との約束、守ったことになるかな」

「ああ……お前は俺の、自慢の息子だ」



そう言って抱き合う二人を見て、あたしは少しだけ……ほんの少しだけ、父親っていいものなのかもなあ、と思った。