「本当に何もないよ…。 お料理教室通うんだ。 海鳳に美味しいご飯食べて仕事頑張って欲しいしね。
それにもうすぐ海鳳の誕生日だから、すっごく素敵なプレゼント買うために仕事も頑張るんだ!」

「ハイハイ、あんまり頑張り過ぎて疲れないように気を付けてね」

「海鳳の為なら疲れないもん…」

本当は嘘。
嘘をついているのは疲れる。

自分の本当の気持ちを隠す事も、海鳳に沢山の嘘をついている事も
全部嘘だらけで不安になる。 いつか桜子さんの元へ結局行ってしまうんじゃないかって来てもいない未来に怯える。

海鳳の事ばかり見ているから、少しの海鳳の変化でも気が付いてしまうんだよ。 そんな自分が、本当は嫌だ。

けれどもこの時の私の中には、本当の気持ちを伝える勇気も持てなかった。