「従者として一緒に来てくれるの? でも、従者が学園に出入りすることはできないはずよ」
 寮とはいえ、高位の貴族ならば広い部屋が宛がわれるし、侍女や従者も何人か連れていく。だが使用人たちは、学園に出入りすることはできないと厳しく定められていた。
 だがアルヴィンは、それを否定する。
「守護騎士ならば、傍にいるのが当然だろう?」
「それは……」
 王立魔法学園に入学することができるのは、厳密に言えば貴族だけとは限らない。でも魔力を持つ者しか入れないし、そもそも魔力を持っているのは貴族だけなのだ。
 たまに魔法を使える一般人が入学することもあるが、彼らは皆、貴族の庶子だった。
 そして守護騎士に選ばれるのは下位貴族や、魔力を持って生まれた者が多い。たしかにアルヴィンの言うように、守護騎士は主とともに学園に通い、親元を離れている間、主を守るのが使命だ。
「あ……」
 そこまで考えて、セシリアはようやくこの魔力を抑えるこの魔道具を、ずっと彼が身に付けていたことを思い出した。
「アルヴィン……。あなたは最初から、魔力を持っていたのね?」
 だとしたら彼は、貴族の血を引いていることになる。