その言葉には、たしかに娘に対する愛情を感じることができた。
 身体の弱い母は、普段は自分のことだけで精一杯で、セシリアのことまで考える余裕がないのだろう。それでも父とは違って、娘に関心がないわけではない。
 それがわかっただけでも、よかったのかもしれない。
 それからセシリアが作ってきた料理を食べてもらいながら、初めてゆっくりと母と話した。
 セシリアの手料理は、どれも喜んでもらえた。
 とくに冷製ポタージュが気に入ったようで、あとで料理長にレシピを教えておこうと思う。
 娘の守護騎士であるアルヴィンにも会いたがったので、部屋の前に待機しているアルヴィンを呼んで、母に会ってもらう。
 母はアルヴィンに、娘をよろしくお願いね、と真摯に告げていた。それを聞けただけでも、ここに来てよかったと思う。
 これからも、母と対面することはあまりないだろう。
 それでも、自分に関心がないわけではないとわかっただけで、充分だ。