リゾットは食べやすかったらしく、トマトやチーズなど、味や野菜を変えて何度も作った。スープも具材が大きいものよりは、オニオンスープやポタージュのような、しっかりと煮込んだもののほうが好きらしい。
 サンドイッチもなかなか好評だった。
 成長期の今、しっかりと食べないと今後にも影響してしまう。セシリアは勉強の合間をみては、彼のために料理をした。
 そのうちセシリアの料理の話はいつしか父の耳に入り、食の細い母にも同じものを作ってほしいと頼まれた。断る理由はないし、セシリアだって母には元気でいてほしい。
 結果、娘の手料理で母は少しだけ健康になり、父はとても喜んで、セシリアに今さらだか誕生日のプレゼントを贈ろうと言ってくれた。
 本当に今さらだったが、誕生日だったことを思い出してくれただけ、ましだったのかもしれない。
 だが今のセシリアにとっては、父からのプレゼントよりも、作った料理をアルヴィンが残さず食べてくれるほうがずっと嬉しかった。
 そんな中、兄だけは、セシリアの料理にまったく関心を示さなかった。
 アルヴィンを保護するために口実になってもらった兄。
 その兄は、本気で異母妹であるセシリアを憎んでいたようだ。