白蘭から少しも離れたくはない。

天帝は私の謀反を何よりも恐れている。それは私の法術が天帝よりも強いからだ。

しかし天帝と天后二人を相手とすると、いくら法術が強い月影でも互角だろう。

そんな危険な戦いは起こせない。戦うならば確実に殺さなければ。

私には白蘭がいるのだから。



「兎月。一つ頼まれてくれないか?」

「はい。月影様」

「この文を白豹族の長に渡してくれ」

「白豹族ですか?」

「ああ」

「わ、わかりました」


兎月はそういうと急いで白豹族の元に向かった。

月影の頭の中ではすでに天界に白蘭を迎える準備が着々と進んでいる。

二千年もの間、天界で迫害されながら月影は書物を読んで暮らした。

その知識は幅広く、あらゆる分野を暗記していた。そして法術の強さは隠してきた。


「…思い知るがいい」


私は白蘭と共に暮らしやすい世界へと天界を作り変える。

次の天帝はこの月影だ。