ケータイ小説 野いちご

『先輩。俺に惚れてください。』その5【お見合い望郷編】

 ベッドでグッタリしたまま父を追い払う。手を伸ばしてスマホを見る。時刻は七時を過ぎたところ。友人と黒崎くんからLINEが来ていたけれど中身を確認しないまま戻す。

 考えれば考えるほど、自分が何一つ取り柄のないつまらないダメで価値のない人間にしか思えなかった。

 楽器の演奏もできないし絵も描けないし椅子も作れないし誰かの心をほんのちょっとでも動かすことなんてできない。わたしだって職人の娘なのに何も作れない。おまんじゅうは作ったことがある。でもそれはただ家業のお手伝いをしただけで「これがわたしの作品です」と誰かに誇れるような内容じゃない。

 

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