ケータイ小説 野いちご

『先輩。俺に惚れてください。』その5【お見合い望郷編】

「わたしはまだ飲めます。それにもっと鈴木さんのお話を・・・」
「無理をしないで。ありがとう。とにかく今日は帰りましょう。送りますから」

 近いから歩くと言ったのに鈴木さんはタクシーを呼んでくれた。タクシーの中でも、ありがとうと何度も言われてしまい、フクザツな気持ちになる。

 それにしても、圭介くんといい、鈴木さんといい、自分の身近にこれほどの才能のある人がこんなにいたなんて、まったく今日はなんて日だ!

 形あるものだろうが目に見えない力だろうが、人を感動させることはできる。それを知った今日だった。そしてわたし七尾樹理にはそんな力は皆無であることも知った一日だった。
 
 あーあ。わたしって、なんてつまらない人間なんだろう。

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