ケータイ小説 野いちご

『先輩。俺に惚れてください。』その5【お見合い望郷編】

「はあ。はあ」

 息を切らしながらホームへの階段を駆け上がる。発車時刻まであと七分。もう大丈夫だろう。他のお客さんの迷惑になるので、ホームに着いたら走るのをやめた。

 新幹線のドアをくぐり、指定された窓際の座席に座ると、ホッと人心地がついた。とたんに眠気に襲われる。

 黒崎くん・・ううん、(れい)くんと一緒に肉じゃがを食べたのは、三時間ほど前だった。

 一人で作るつもりで彼の腕から離れ、ベッドから降りたわたしの背中に、彼は自分も手伝うと言い出した。
 
「ありがとう。でも怜くんは料理の経験ないんだよね」
「ないですね。今日が初です」
「一人でできるから、無理に手伝わなくていいよ」
「でも樹理と一緒ならやってみたい。樹理が教えてくれればいい。なんでもやります」
「・・・」

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