……周囲に気をつけていた理由はそれだけではない。



狙撃されるかもしれない1番の理由は、私が和正……月城組の人と付き合っていたから。


いくら知らなかったとはいえ、一条組と敵対している組の男と私が以前付き合っていた、というのはかなりよくないもの。


……月城組のスパイ、とか思われても無理もない。


一条組の人たちはどこまで知っているんだろう。
変わらず私に明るく話しかけてくれていたけど……怪しんでるのかな。




……いろいろ怖い。
どこに連れていかれるのかもわからないし……。


きっと、怒られる……または殺される、のどっちかだろう。


ぎゅっと着ているワンピースの裾を強く握っていれば、「美鈴ちゃん」と隣に座っている蒼真が声をかけてきて。


隣を見れば、




「数日前、初対面で試すようなことしてごめんね?もうなにもしないからそんなに怯えなくていいよ」


優しい声で言った彼。