アルファベットのAのように、上部が小さく裾が広がっているAラインのドレス。上半身はぴったりフィットし、ウエストから裾にかけてフレアーで広がったプリンセスラインのドレス。スレンダーなドレスの膝下あたりから、人魚の尾ひれのように広がったシルエットのマーメイドラインのドレス。

一着ずつ着て鏡を見るたび、フィオナは自分に似合っていないだろうと思ってしまう。鏡に映る自分は無表情で、普通の花嫁ならば美しいウエディングドレスに心を躍らせ、笑っているはずなのだから……。こんなにも無表情な女性にウエディングドレスは似合わない、そう本気でフィオナは感じた。

「このドレスはどうですか?」

フィオナがドレス姿をお披露目すると、アイビーが「似合ってるわよ!どれも似合っていて選べないわね!」と笑う。ピーターは何も反応しないが、エヴァンは「綺麗だよ、フィオナ」と頬を赤く染めて微笑んでいた。

エヴァンの言葉に嘘はなく、フィオナは「どうして……」と呟いてしまいそうになる。何故、こんな無表情な偽物の花嫁を綺麗だと本気で思えるのか、フィオナにはわからない。