少女漫画のような展開に免疫がない私には
このシチュエーションは顔から火が出るほど
一気に恥ずかしさが頂天に昇るもの。

そしてこれを自然に出来ちゃう氷彗は
天然なのか慣れているのか
威力は心臓が破裂する勢いだ。

「やっぱり少し熱いね…」

「そそそそそうッ!?」

そりゃこんな事されたら熱くなるわ!
そしてくっつけたまま囁くなぁぁぁぁ

「冷やすもの持ってきたから
 これで少しでも熱が下がるといいんだけど…」

ようやく離してくれた額に
さりげなく前髪を直してくれるあたりが紳士。

「部屋にいるから
 何かあったら遠慮なく呼んでね?」

「あ、ありがとう…」

ニコッと向けてくれる笑顔に
またドキッとしながら
つい目を見つめてしまい。

「ん?どうした?」

「えッ、いぃぃや?
 い、いろいろありがたいなって思っただけッ」

すぐさま目を逸らし誤魔化した。

まずいッ
見惚れていただなんて絶対言えないッ

「…そっか。
 じゃぁまたあとで様子見に来るね」

言い残して部屋をあとにした氷彗に
めちゃくちゃホッとした。




もしかして…
もしかすると
いや、もしかしなくても
氷彗って実は、人が苦手なわりに
女の扱いに慣れしているんじゃない?

彼女もいた事があるみたいだし…
疑いがなくなってきた。

恐るべし…イケメン



私の夏バテから始まった1日は
男2人の優しさで“別の熱”に侵され
余計に悪化したのは言うまでもないーーーーー