ケータイ小説 野いちご

性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。


車を走らせる氷彗に
私はさっき見た光景を話した。

院長回診(あぁいうの)って初めて見た。
 本当にあるんだね」

「…」

相変わらず答えてはくれないけれど
今日は特に無口。
ううん、違う。
昨日から…だったようにも思える。

何かあった?と…したら
何が原因?

まさか…
私の、裸・・・

「それは困るッ」

窓の方を向き小声ながら声に出してしまうと
運転中の氷彗に『なに』と横目で流された。

『あはは…』なんて苦笑いする私に
彼は小さく溜め息を1つ。

そしてようやく
重たい口を開いた。

「さっき言ってた“院長回診”
 その真ん中にいたのが、俺の父親」

「・・・え、えッ!?」

衝撃に面食らって
彼を見つめて瞬きを数回。

あの医者…
氷彗のお父さん?

って…

「えぇ゛ッッ!?」

「うるさいなぁ」

狭い車内にも関わらず真隣で大きく騒いだせいで
氷彗はビクッと肩を震わせ
怒気に目を細められるから
ひとまず謝罪し前に向き直した。

「あの人がお父さんだったんだ…
 全ッ然、顔を見なかった」

『本当にあるんだ、こんなシーン』って
そればっか考えて見過ごしていたから。

「別に見なくて良いよ。
 何も特別な事なんてないんだし」

「大学病院の院長でしょ?
 凄い事じゃん」

「…そう、見えるんだね」

言葉に重みを感じてまた横に顔を向けると
ちょうど赤信号で停車。


< 66/ 161 >