さっきまでそんな素振り見せなかったのに…。

「どうかした…?」

なんとなく様子が気になった私は
答えてくれるかはわからないけど
声を掛けてみる事に。

すると彼は険しい表情のまま静かに答えてくれた。

「送っていくけど…
 俺は中には入らないよ」

「え?」

「病院が嫌いだから」

意味深に言い残して
下の階へと去っていってしまった。

病院嫌いって…
そんな子供みたいな一面があったなんて
ちょっと可愛いじゃん、氷彗。


呑気に笑っていたけれど
私は知らなかった。

氷彗の発した“嫌い”の本当の理由(いみ)をーーーー