私を心配って…
壱琉がそんなに私を想っていてくれてたなんて…
さっきのアクシデントで幻滅しかけたけど
本当はコイツって良い人なんじゃ…

そう思ったのに。

「どうせ非常用の電源なんて点けてねぇんだろうなとは思ったけど、マジで予想通りとはな」

「え。
 まさか心配って…その事なんじゃ…」

「は?当たり前だろ。
 たかが雷くらいでアンタの心配なんかすると思ったのかよ」

嘲笑いながら答えられ
こっちは一気に気分が急降下。
心の中で『くそぉ』と叫びながら
一発殴りたい衝動でいっぱいだ。

人の胸を見て襲い掛かろうとしたこの男は
やっぱり性悪だった。


しかしこんな時に助っ人がいてくれるわけで。


「とにかく洋服を着なよ。
 目のやり場に困るから…」

目を逸らし
困った表情をする氷彗の言うことを素直に聞き
素っ裸にタオル1枚でウロウロするわけにもいかず
足も痛いから仕方なく氷彗の肩を借りて
なんとか部屋まで辿り着く事に成功。

壱琉(あの変態)と違って
氷彗は変な事を考えないから安全。
部屋の前まで付き添ってくれた。

「ありがとうね。
 ここまでついてきてくれて」

「別にいいけど…
 それより明日、病院まで送っていけばいい?」

「え、いいの?」

コクリと首を小さく縦に振ってくれたけど
どことなく氷彗の顔が険しく見える。