そうと決まれば、話は早いーーーー



「どういう風の吹き回しだ」

入浴後、頭も体も温まった私は
彼等2人を前にリビングのソファに腰掛け
さっそく承諾の意思を伝えた。
『共同生活の話、ノリましょう』と。
そしたら見事に冷たい眼差しと反応を受けたのは
言うまでもない。
そりゃそうだ。
さっきまで頑なに拒否していたのだから。

「だって家賃も光熱費もタダで
 仕事は食事と掃除だけでいいんでしょ?
 よく考えてみたら
 私にとっては好条件だと思ったの」

「アンタって女は…」

ドヤ顔する私に
月影さんは頭を抱えて心底めんどくさそう。
その隣で氷彗さんは興味がなさそうに無表情だが
ポツリと一言、月影さんに釘を刺す。

「そもそもの原因は壱琉だからね」

そう言われてしまえば
本人は返す言葉が見つからない模様。

「じゃぁ改めて契約だ」

コホンと咳払いをし
気を取り直して真剣な表情で私に言う。

「蓮見詩菜。
 今日からここがアンタの居場所だ」

どうしてだろ。
普通、なかなか容姿の良い男に“ここが居場所だ”なんて言われたら、相手が好きなタイプなヤツじゃなくてもキュンと嬉しい言葉なんだろうけど…この人は全然違う。
微塵の魅力も感じない。

まぁとりあえず
私は今日からここで、この人達と
謎のルームシェアが始まるようだ―――