確かに……


悔しいけど、総長の言う通りだよ。




一目ぼれした相手が、私じゃないのに
勘違いで私と結婚して。


私は私で、自分の黒歴史や
暴走族の姫であることを、隠したままで。


全部がバレて、離婚となったら
氷牙さんのアイドル人生の汚点となる。




大好きな人の足を引っ張るようなことは、
絶対にしたくないなぁ……



でも……


氷牙さんとも……

離れたくない……






「脅しで好きな子を手に入れようとする
 僕のやり口は、汚すぎでしたね」



総長は

「申し訳ありませんでした」と
深く頭を下げると



「僕は本気で
 氷牙さんから姫を奪いますから」


普段通りの、王子様級の笑顔を浮かべ




「姫、覚悟していてくださいね」


私の手のひらに、スマホを乗せると

武道場のドアを開けてくれた。