<グスタフ皇国・武闘訓練場の草原・交流会2日目・朝10時>

交流会の二日目は
武闘・戦闘能力を競う。

各国のトーナメント形式で、
それぞれの使い魔も一緒に闘う。

参加者は自分の戦闘能力も
さることながら、
使い魔を戦略的に、動かさねばならない。

使い魔は(あるじ)の指示で
動くが、
動物系は能力(知能)が低いので、
コマンドが曖昧(あいまい)だと暴走することも多いのだ。

係りの側近が大声を上げた。
「それでは、出場者と使い魔の
確認をいたします」

「グスタフ皇国、アンバー様、
使い魔は・・・」

「いません。僕だけです」
アンバーが答えた。

使い魔がいないのは、かなり不利だ。
そもそも
エルフは、戦闘向きではない。
癒しや芸術に特化した存在なのだ。

側近は仕切り直しのように
咳払いをした。
「では、つぎにA国・・・・」

次々に
各国の出場者と使い魔が呼ばれる。

「魔女の国、クラリス様、
使い魔は・・」
「いません。わたしだけです」
クラリスは平然と言った。

右手には魔女らしく
ほうきをもっている。

アンバーは意外に思った。
美しいエルフは戦闘向きではない。出場しないことは、
みんなが納得する。

でも、魔女の国の使い魔は、
男の精霊であり、魔力があるのに・・・なぜ?

組み合わせ順が決まり、
トーナメント方式で試合がはじまった。

アンバーは、
使い魔がいないわりには、よく健闘したと言える。

鷹につつかれ、グリフォンに
ひっかかれ傷だらけにはなったが。

順位は4位だった。

クラリスは試合が始まると、
ほうきに乗った。

そのまま、森に飛んでいき、
試合を放棄した。

当然、相手の国が不戦勝。
魔女の国が、最下位だったのは、
言うまでもない。