「美乃里〜!友達の私たちも鼻が高いよ〜!学年別投票でも絶対に美乃里が一番でしょ」

帰りの会が終わって、一目散に私の席にやってきた萌ちゃんのセリフに心の中でため息をつきながら口を開く。

「……辞退するから、」

「はぁー?!なんでよ!」

「そうだよ!もったいない!」

さゆちゃんと萌ちゃんがぐいっと詰め寄ってくる。

「っ、……こ、こういうの苦手なの」

期待されたり、評価されたり。

私は、それに答えられるような人間じゃないから。

あれは小学3年生のころの学芸会。
クラスの多数決によって主役のお姫さまに選ばれて。

『美乃里ちゃん、可愛いからお姫様ぴったりだね!』

『ドレスもすっごく似合ってるし!完璧だよ!』