だから、今の私には、恋愛に時間をかけられる余裕がないって言うのも、

恋をしないもうひとつの理由だ。

かわいい双子の笑顔が見れて、今はそれで満足している。

ママもパパも里柚も柚巳も、私は家族が大好きなんだ。

ママが病気でも亡くなっても、今でもずっとママを変わらず愛しているパパを見てさらに、

私もいつか、パパみたいな誠実な人とって思うから。

「……あんな人、絶対ありえないからっ」

にんじんを切りながら、思わず声が出てしまった。

……朝、さゆちゃんと萌ちゃんとあんな話になったから思い出してしまった。

……まったく。

「おねーちゃん!!シャンプーなくなっちゃった!!」

突然、廊下側から柚巳の声がして、ハッと我に返る。

グインと首を横に向ければ、柚巳がとんでもない格好で立っていた。

「あっ、ちょ、柚巳!!なんですっぽんぽんで出てくるかな?!しかもびしょ濡れだし!!」

「うははははっ!!」

「うははじゃなくて……!」

この笑顔を、私は守りたいから。
この笑顔が、私の幸せだから。