スタッと軽々と着地した玲くんに、驚きで頭が真っ白になる。
 
「っと。じゃあ車乗るよ?」

「……」

口がポカンと開いてしまって、もうなにも考えられない。



……え?

「ついたよ」

ま、待って……?

ほんの一瞬で、まるで異世界のような場所に着いた。

そこは、みんながドレスやスーツをきている、御伽の国のようだ。

「きゃー!!玲様よぉー!」

「ごきげんよ、玲様!!」

挨拶をしている美人な人の声なんて無視して、私のことを軽々と抱き上げた玲くん。

「さぁ行きますよ僕のお嫁さん❤︎」

「ええっ……!?」

にこにこしながら、私の額にちゅっとキスを落とした玲くん。

「っ……玲くん、おうち、帰りたいよぉ……」

「ふふっ、だめだよ。キミは僕の婚約者なんだからね」

そう言って、またにこにこと笑う玲くん。

「……こ、ここどこなの?」

「ここは、吸血鬼の世界だよ」

 吸、血鬼……の、世界……?