温め返すようにぎゅうっとにぎると、「ふふふ」と笑われる。

あまりにも幸せそうに微笑むものだから、俺まで恥ずかしくなってしまった。




「……なに、じろじろ見ないで」

「りりの手あったかいから好き。冷たくても、好きだけど」

「…そ、」




思わずにやけそうになった口元をマフラーにうずめ、短く返事をする。



冬が来た。

楓莉と共に冬を迎える回数は、年齢とほとんどイコールだ。それだけ長い間、俺と楓莉は一緒に過ごしていることになる。


けれど、今年の冬は、これまでとは違った。




俺たちは「幼馴染」から「恋人」になった。



思い返せば、俺は随分と長い片想いをしていたような気がする。

……気がする、じゃないか。

していたのだ、ずっと。



楓莉が俺の、最初で最後の恋の相手なのだと自覚したのは、もう何年も前のことだ。