頬を伝う涙を蒼士は優しい手つきで拭った。

「守ると……。守ってやると約束したのに俺は沙菜にこんな顔をさせてしまった」

　グッと唇の色が変わるぼど嚙みしめる蒼士の姿に沙菜の涙は更に溢れ出す。

「蒼士さんは守ってくれましたよ。あなたはいつも私を守ってくれます」

　蒼士は沙菜の両わきに手を通すとヒョイッと体を持ち上げ、自分の膝の上に座らせ包み込むように抱きしめた。

「不甲斐ない……。そう思うのに沙菜の言葉がうれしくて仕方がない」

　蒼士の手が沙菜の顎に添えられ視線がぶつかり、そっと沙菜が瞳を閉じれば蒼士が唇を重ねてくれる。

　小田さんにキスされた時はぞわりとした寒気に襲われたが、蒼士さんとのキスは違う。ふわふわとした心地となり、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。

「んっ……そう、し……さん……もっと……」

　
　顔をトロンっさせて、可愛くねだる沙菜の様子に蒼士の喉が鳴った。


「……っぐ……沙菜、頼むからここで煽らないでくれ……」