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 何とかアパートに帰ってきた沙菜は冷静になるためシャワーを浴び、洗面台の前でスキンケアで肌を整える。随分冷静になったと思いベッドに入るが思い出すのは蒼士の声……。

 キャーー!!

 沙菜と呼んだ声と恥ずかしそうな蒼士の姿を思いだしベッドの中で悶絶する沙菜。

 何なのこれは……。

 先週彼氏にこっぴどくフラれて泣いていたのに、私は蒼士さんに惹かれている。この気持ちがわからない年では無い。

 でも……。

 さすがにフラれて一週間で他の人にっていうのはどうなんだろうか?と思ってしまう。そう思っていても目を閉じれば思い出すのは蒼士の事ばかり。樹に一泡吹かせてやろうと思っていたことも忘れていた。それほどにいつも蒼士のことで心が頭がいっぱいだったのだ。

 ああこれは……。

 沙菜は自分の気持ちに気づいてしまった。



 蒼士さん……。



 沙菜はそっと瞼を閉じると蒼士を思いながら眠りの世界へと落ちていった。