だけど、どういうわけか周は立花のことが本当に好きらしくて。

その女の話をするときは頬を赤らめて俺にノロケてくる。


そして俺たちが中3に上がる前。



「…でも……自殺、したよな…?」


「…あぁ」



立花はクラス中からのいじめに耐えきれず、自ら命を絶った。


そのときの発狂したような狂った周の涙を俺は一生忘れられないんだろう。

自分が傍にいて何もできなかった、なにひとつ助けてやれなかった、そうして何度も自分を責めて。


もうあんな思いするなら俺は大事なものなんか作らない、とまで言い切ったほど。



「ってことは…罪滅ぼし?」


「…だれに対してだよ」


「いや、わかんねぇけど。自分自身か、立花に対する…」



だから俺も今それを聞いて、そうなんじゃないかって思った。

でもそんなの周も自分自身を傷付けるだけだろ。


それに、その女だってまた二の舞になったらどうするんだよ。



「重ねてんのかな、周。元カノにあのいじめられっ子を」


「…知らね」



もし俺があの後輩に何か伝えられるとするならば。


周に関わるのはやめろ───と、言いたい。