そんな会話を聞きつつ、ノワールはお城の前までやって来る。門番に「姉を止めるために来ました」と事情を話し、中に入ることを許可されたノワールは、謁見の間に向かって走った。

「……シャイン」

謁見の間の扉を開けると、後ろを向いていたシャインはノワールの方を向く。

「……ノワール……どうして?」

「分からないの?シャインを止めに来た」

「何で私を!?今、王様を止めないと……もしかしたら、私たちまで被害が……」

「……確かにそうだね。でも、シャインだけで歌うとどうなるのか分かってる?」

「……っ」

ノワールの言葉に、シャインは俯いてしまった。

「……だから、私も一緒に歌う」

「え……?」

「私たちは、2人で1つ。ここで歌おう」

「……うん!」

シャインは笑うと、息を吸って歌い出す。ノワールも一緒になって歌い出した。

シャインとノワールの歌声はお城全体に響き渡り、怒りに身を任せて暴れていた王様の耳に届く。やがて、王様は落ち着いていった。

「……お主たちか……歌っていたのは」

謁見の間に入ってきた王様は、シャインとノワールの姿を見ると近づく。

歌うのを止めたシャインとノワールは、王様に目を移した。