屈んでミレイナの耳元に口を寄せたジェラールに、囁かれた。

「いえ、ウサギ姿でお願いします!」

 ミレイナは顔を真っ赤にして、ぶんぶんと左右に首を振る。
 あわあわしながらも即答するミレイナを見て、ジェラールはくくっと肩を震わせた。

「では決まりだな。ブラシは早速手配しておこう」

 楽しげなジェラールはミレイナの額にキスをすると、背後を振り返る。
さっきまであれほど沢山いた魔獣と仲間の魔獣係達はいつの間にかどこにもいない。全員、外の遊び場に行ってしまったのだ。

(皆、毎回余計な気を使いすぎだから!)

 毎度毎度、ジェラールが魔獣舎に遊びに来てミレイナといると、いつの間にか魔獣係仲間や他の魔獣達が周囲からいなくなっている。ミレイナとジェラールに気を使って、わざわざその場から席を外していると気付くまでにはさほどかからなかった。

 後からリンダに「ミレイナったら愛されてるー!」と散々からかわれるのだから、勘弁してほしい。

(でも──)

 ミレイナはジェラールを窺い見る。