ケータイ小説 野いちご

家出少女は不器用王子と恋をする。

「途方に暮れてるの。行く宛てもないから、そのうち死ぬの。・・・苦しむのは嫌だからその前に自殺するかもだけど」

最期だから隠そうともせずありのままを話して顔を上げると、仁坂は言えず悲しそうな顔になっていた。

「いきなりすぎてびっくりしたよね、ごめんね」

私は力なく笑った。

仁坂は何か考える素振りを見せたあと、いつもより優しい声で私にこう告げた。


「だったらさ、家においでよ」


「・・・え?」

仁坂のまさかの発言に私は言葉が詰まる。

「いい、の?」

「うん。おいで?」

私と仁坂の目が合った。

冷えた心に少しずつ温かさが戻ってくる。

仁坂はこれが当たり前だと言うように、ただ私にそう提案してくれた。

仁坂の差し出した手を、私は縋り付くようにゆっくりと握った。

仁坂はそれを握り返す。

その手は何よりも心強かった。




< 2/ 189 >