「だ、誰か……」


真里菜が必死に目だけ動かして周囲を確認する。


その瞬間あたしと視線がぶつかった。


あたしはジッと真里菜を見つめる。


「あ、あ……助け……っ!」


真里菜の言葉は最後まで続かなかった。


その前に男が振り上げていたナイフが真里菜の胸に突き立てられていたのだ。


男は恍惚とした表情を浮かべる。


真里菜が目を大きく見開き、そして口から血を流した。


真里菜の手があたしへ伸びる。


あたしはその手を無視して、その場からそっと逃げ出したのだった。