ケータイ小説 野いちご

咲からの視線が自分の体に突き刺さっているような感覚がする。


視線だけで人を殺すことができるんじゃないかと思うくらいだ。


「と、トイレに」


あたしは咲の視線と質問から逃げるように席を立った。


真里菜が小さくした内をして道を開けてくれる。


あたしは足早にトイレへと駆け込んだ。


どうにかして逃げ出すことができないだろうか。


席には戻らずに真っ直ぐ出口へ向かえたらいいのだけれど、そのためにはどうしても咲たちの席の前を通る必要がある。


トイレの窓はどうだろう?


そう思ってトイレの奥の小窓を確認してみるが、外に格子がつけられているのがわかった。


食い逃げ防止なんだろう。


続いてスマホを取り出した時だった。


いつの間に入ってきたのか真里菜が目の前にいて悲鳴を上げそうになった。


「なにしてんの? トイレでしょ?」


言いながらあたしの手から簡単にスマホを奪い取ってしまった。


ここから逃げる方法をすべて失ってしまったあたしは唖然として棒立ちになる。


「あたしたちから逃げられると思うなよって、言ったはずだけど?」


真里菜は勝ち誇った表情でそう言ったのだった。

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