[ゴーラン、会いたかったよー。後でブラッシングさせてね]
[好きにしろ]
[ありがとう!]

 ミレイナはゴーランの頭と首をもしゃもしゃと撫でてから、ジェラールのほうを向く。
「陛下。お待たせいたしました」

 ミレイナは部屋のソファーに座るジェラールに、先ほど練習したばかりの所作でお辞儀をする。
 一方のジェラールは、ミレイナのほうを見つめ、頬を綻ばせた。

「ミレイナ。よく来たな」
「はい」

 ミレイナは、おずおずとジェラールの元に歩み寄り、ジェラールの正面に座った。

 ジェラールが片手を上げると、どこかでリーンとベルが鳴る。
 さほど待つこともなく、侍女によって沢山の焼き菓子が運び込まれる。それらはふたりの間のローテーブルに置かれた。