[今用意しているから、もうちょっと待っててー]

 ミレイナはイレーコにそう言うと、包丁を持つ手を動かす。お肉が大きくて、なかなか上手く切り分けられない。

「ミレイナ、この子達なんて?」

 隣で別の肉を切っていた魔獣係仲間のリンダが尋ねる。

「ご飯が遅いって」
「えー、午前中にあれだけ食べたのに?」

 ミレイナの言葉に呆れたように、リンダが肩を竦める。

[まだかよー?]

 シェットが耐えきれず、ミレイナのスカートの裾を咥えて引っ張った。

[こら! ちゃんと待ってて。破れちゃうでしょう]
[[[お・な・か・す・い・たー]]]

 遂には、三匹の声が重なる。

[今用意しているから、邪魔しないのー!]

 ミレイナは大きな声で叫び返す。
 そんなこんなで、今日も魔獣係は大忙しである。