はっきりと答えない彼にやれやれとため息を零す。

そして彼の熱っぽい瞳を真っ直ぐ見つめ、首の後ろに腕を回す。


「…好きだよ」

そう言うと桜也くんはフッと微笑み、


「俺も」

ほんのり頬を赤らめて──



窓から夕日が差し込み私たちを照らし出す。

フローリングに2人の影が映される。
ゆっくりと影が近づいたと同時にそれは重なった。


10回好きと言っただけなのにどうやら私は彼を煽っていたようだ。

何故こんな雰囲気になったのか、何故彼はスイッチが入ってしまったのか、これが終わったら聞いてみよう。

そんなことを考えながら私は目を閉じ、口内に侵入してきた舌を絡み取った。




彼はキスがしたかった。

-end-