フィオナが見せたのは、男性が生徒に薬物を売り付けている最中の写真だった。

男性は少し黙った後、ポケットからナイフを取り出すとエヴァンに向かって走り出した。エヴァンは、突然のことに体が動かなくなる。

「……っ!」

咄嗟にフィオナは、エヴァンの腕を引いた。男性が振り下ろしたナイフは、虚しく空を切る。

「……」

その時、男性の腕と足にツタが絡まった。男性は、驚いた様子で辺りを見渡す。教室の扉が開き、特殊捜査チームの存在を知っている警察と俯き加減のサルビアが姿を見せた。

「誰だ!貴様ら!」

男性は、警察とサルビアを睨む。サルビアが男性に手を伸ばすと、腕や足に絡まっていたツタが伸びた。

警察は、男性を立たせると手錠を掛けて連れていく。サルビアは、フィオナ、エヴァン、レイモンドを見ると微笑んだ。

そこへ、教室にアルミンが姿を見せる。

「……先生……」

アルミンは、レイモンドに近寄ると微笑むと優しく頭を撫でた。

「君は、一人前の精神科医である前に立派な人間だ」

レイモンドは、アルミンの言葉に涙を零すと微笑んだ。