ーバレンタイン当日ー


学校に着くと早速悠里くんがいる教室へと向かう。

ドクドクと高鳴る心臓を落ち着かせ、そっと中を覗いた。


「悠里くんチョコあげる～」

「私のももらって！」

「ずるいあたしのも～」

教室の真ん中の方で大勢の女の子に囲まれている悠里くんの姿がすぐ目に入った。


「ありがとう！」

そして女の子たちから笑顔でチョコを受け取る悠里くん。

お菓子でパンパンになるくらい入っている紙袋が両サイド机にかかっている。

机の上にもラッピングされたチョコやお菓子(または市販のチョコ)が山のように積まれている。

もはやピラミッドでは？

呆気にとられていると悠里くんと目が合ってしまう。


「遠藤さん！」

悠里くんはぱっと顔色を明るくさせ、こちらにやって来る。


「どうしたの？誰かに用事？」

優しい笑顔で話しかけてくれる悠里くんにキュンッと胸がときめいた。


「えっと…」